第6回 五十嵐 治一('75年卒)
富山を離れて26年,東広島からのメッセージ

富山中部高校を卒業して,早くも26年という月日が流れました.
コーラス部の「掲示板」の方での同期生の書き込みから判断すると,
人間の記憶というのは断片的にしか残っていないものだということが
よくわかります.
お互いの記憶をつなぎ合わせたり,当時のコンサートのプログラムや
録音を見たり聴いたりして,やっと,ああそうだったかと
途切れ途切れの記憶が線でつながり,失われていた部分が補完されて,
一つのシナリオとして3次元的に再現されて行きます.

懐かしい当時の想い出話は,「掲示板」の方で盛り上げることにして,
今回のリレーエッセイでは,私の身の回りのことを少し書いてみようかと思います.

私は,昭和59年,大学院の卒業後,ある民間企業に就職しました.
ここには12年間お世話になったのですが,そのうち,4年間は
京都府にある官民出資の情報関連の研究所に出向しておりました.
住まいは奈良市でした.
それまでは,富山と東京近辺としか知らなかったのですが,
この4年間で奈良と京都の良き日本文化に触れました.
その後,今から5年前('96.3月)に会社を退職し,
現在,近畿大学工学部電子情報工学科に教員として勤務しております.
ほとんどの方は,私の勤務先の名称を聞いて
大阪在住だと勘違いされるのですが,
「工学部」は昔から広島県東広島市にあります
(注:大阪にあるのは理工学部.電子情報工学科は10年ほど前に新設さる).

広島県は地方としては大きな県で,人口は全都道府県中,第12位です
(注:平成12年度国勢調査による).
その中でも,東広島市は本学や広島大学が移転して来たこともあり,
近年,人口の増加が目立ちます.家のすぐ近くの小学校は,
児童数において県下でもトップクラスで,サッカー用のフィールドが
3つぐらい取れる広い運動場があります.

音楽関連の話題として,広島は昔からオペラが盛んな土地で,
オペラを企画公演する団体が5つもあり,活発に活動しています
(注:http://www.city .hiroshima.jp/japanese/City/opera/index.html).
私も年1回は広島市内まで聴きに行っています.
本当は月1回ぐらいの頻度で行きたいのですが,
仕事が忙しいのと広島中心街へ行くのに東広島からは少し時間がかかるので,
年1回で我慢しています.
また,中四国地方唯一のプロオーケストラ(広島交響楽団)や
音楽高校・大学・大学院などもあり,
上記のオペラ公演にも協力しているようです.
また,広島大学の前の学長さんは,専門の医学以外に,
声楽にも通じられ,「蝶々夫人」のテナーの主役も自ら演じられた
程の本格派です(注:広島大学関係者だけで公演).
また,東広島市の中心,西条は昔から「酒都」と称され,
全国的に知られた銘柄の日本酒がいくつもあります.
昨年は,市内の小学生だけで創作オペラ「白壁の町」というのを
「酒まつり」のときに公演しました
(注:ソロ,合唱,踊り,楽器,指揮すべて小学生).小学生による
オペラ公演というのはこの地区の伝統のようです.

そういった音楽環境にありながら,
全く合唱とは無縁の生活を過ごしていたのですが,
同期の熊野和夫君のおかげで,
高校時代のコンサート(注:第10−12回)を録音した
CD-ROMを手にすることができ,
再び合唱の楽しさを思い出しました.青春時代を取り戻し,
この世に生まれてきた喜びをまた実感できたと言うのは
言いすぎでしょうか?

さて,昨今の新聞を見ると,日経平均株価が1万2千円を割ったとか
(注:1年前は約2万円.'85年以来の安値),
アメリカのナスダックの総合指数が2000まで下落したとか
(注:1年前は約5000.ハイテク株が多い株式市場),
あるいは,少子化による影響等などで,不景気な今日この頃ですが,
このCD-ROMと蘇った記憶とを心の糧として,
コーラス部の同期の「仲間」達と「とーもにー♪ 手をーとりー♪」,
残された"老後"を(注:あと30年ぐらい?),愉快に過ごして生きたいと思って います.

最後に,現役の富山中部高校コーラス部の皆さん,
大学受験や人間関係,家庭環境等でいろいろご苦労があるかもしれませんが,
私は富山中部高校でコーラスをやっていて本当に良かったです(きっぱり).
皆さんも,おそらく,将来(26年後には),この気持ちを実感されることでしょう.

平成13年3月16日


五十嵐 治一
1972年5月?〜1975年3月,富山中部高校コーラス部在籍.
パート:バス.現在,広島県東広島市に在住.
趣味:コーラス,卓球,テニス,サッカー,ロボットサッカー(RoboCup)
ホームページ: http://202.250.122.235/index_j.html